スタッフ日記

こんにちは!
名古屋市、大治町、清須市、津島市、稲沢市、愛西市の近隣にあるあま市あま動物病院の獣医師の関です。

当院は、腫瘍科認定医が在籍し、腫瘍科診療を実施しています。
腫瘍は命に関わるものですので、大切なご家族のわんちゃんネコちゃんのために、遠方から診療にいらっしゃる方も多くいらっしゃいます。
そこで、腫瘍に対する有効な治療の選択肢を広げるために、電気化学療法(ECT)を取り入れております。
今回はその電気化学療法(ECT)について解説します。

目次

1.電気化学療法(ECT)ってなに?

2.どんな子に向いているの?

3.治療の流れはどうなってるの?

4.メリットとデメリット

5.実際の症例と治療の様子

6.気になる料金や通院回数

7.当院で治療ができる腫瘍の種類

8.お気軽にご相談ください

1. 電気化学療法(ECT)ってなに?

「電気化学療法(Electrochemotherapy/略してECT)」は、がん細胞に薬をしっかり届けるための治療法です。
簡単に言うと…
「抗がん剤 × 電気の力」でがん細胞を攻撃する治療法 です。

がんのある場所に抗がん剤を注射したあと、弱い電気を流すことで薬ががん細胞の中に入りやすくなり、効果が高まるのです。


2. どんな子に向いているの?

こんなケースで使われています:

・手術が難しい場所のがん(まぶた、口の中、肛門まわりなど)
・手術後に再発したがん
・高齢や基礎疾患で手術が難しい子
・飼い主さんが手術を希望されない場合

実際には、「皮膚や皮下にできた腫瘍」が主な対象です。

3. 治療の流れはどうなってるの?

全身麻酔をかけて眠ってもらいます

抗がん剤(主にブレオマイシン)を注射

③専用の電極を腫瘍に当てて電気を流す(1回数秒)

④電極を少しずつ移動させて、腫瘍全体に処置を行います

⑤麻酔から覚めたら追加の痛み止めを使用します。

⑥その子の体調等により日帰りまたは1泊です。

所要時間は20~30分程度、通院は1~3回が目安です。


4. メリットとデメリット

メリット
・少ない薬でしっかり効く(全身の副作用がほとんどない)
・手術が難しい部位のがんにも対応
・傷が小さく回復も早い
・通院回数が少なくて済む(1〜3回)


⚠️ デメリット
・全身麻酔が必要(ただし短時間)
・深い場所の腫瘍や一部のがんには不向き

5. 実際の症例と治療の様子

猫ちゃんの鼻にできた扁平上皮癌に対してECTを行った症例。
2回の治療で腫瘍がかなり縮小。
電気を当てたあとは一時的にかさぶたになりますが、時間とともにキレイに治っていきます。




6. 気になる料金や通院回数


治療費は腫瘍の大きさや麻酔の有無によって異なりますが、1回あたり数万円〜十数万円程度が目安です。

通院は1〜3回程度で済むことが多く、「頻繁には通えないけど治療はしたい」というご家族にとっても現実的な選択肢になります。

7. 電気化学療法を用いて治療できる腫瘍の種類

・皮膚がん(扁平上皮がんなど)
・肥満細胞腫(小型・再発例)
・軟部組織肉腫
・エナメル上皮種
・猫の上顎肉腫
・注射部位肉腫
・肛門周囲の腫瘍
・口の中の腫瘍(手術困難な部位)
・メラノーマ(悪性黒色腫)

など

※腫瘍の大きさや場所によっては対象外となる場合もあるため、まずは診察をおすすめします。

8. お気軽にご相談ください

電気化学療法は、がんに苦しむ動物たちの負担を減らす、新しい選択肢のひとつです。

腫瘍の治療に悩まれており、「この子に合うのかな?」と気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では、動物さんの状態やご家族の意向に合わせたオーダーメイドの治療を提案しています。

当院に受診することが決まったら、診療情報提供LINE ↓ からこれまでの経過や検査結果、腫瘍の写真などの情報をお送りください。事前に獣医師が情報をいただくことで、より的確な診断や治療が可能となります。