スタッフ日記

こんにちは!
名古屋市、大治町、清須市、津島市、稲沢市、愛西市の近隣にあるあま市あま動物病院の獣医師の関です。

みなさんは「腸内フローラ」という言葉を聞いたことがありますか?

腸内フローラとは、腸の中に住んでいるたくさんの細菌たちの集まりのこと。
人間と同じように、犬や猫の腸内にも何兆個という菌がバランスを取りながら存在していて、健康を守る大切な働きをしています。

しかし、さまざまな原因でこのバランスが崩れると、下痢や便秘、皮膚トラブル、免疫力の低下など、全身にさまざまな不調が現れてしまうことも。

そこで注目されているのが、「腸内フローラ移植」という新しい治療法です。

目次

1.腸内フローラ移植ってなに?

2.こんな症状におすすめです

3.安全なの?副作用は?

4.施術の流れは?


腸内フローラ移植ってなに?

腸内フローラ移植(FMT=Fecal Microbiota Transplantation)は、健康な犬や猫の便から「良い腸内細菌」を抽出・精製し、それを体調不良の動物の腸内に移すことで、腸内環境のバランスを整える方法です。

もともと人間の医療でも、難治性の腸炎や抗生物質による腸内バランスの崩れなどに効果があるとして活用されてきた治療法で、動物でもその効果が注目され始めています。


こんな症状におすすめです

腸内フローラのバランスが崩れていると考えられる以下のような症状に効果が期待できます

・慢性的な下痢・便秘
・炎症性腸疾患(IBD)
・食物アレルギー
・アトピー性皮膚炎
・自己免疫疾患


また、免疫力向上や体質改善につながることから
・食欲不振の改善
・シニア期の健康維持

も期待されます。



安全なの?副作用は?

使用する腸内細菌は、厳密な検査を通過した健康な動物の便から抽出されたものだけを使用します。
移植は肛門から浣腸により直接腸管内に注入します。
痛みや負担はほとんどありません。

副作用は非常に少ないとされていますが、移植直後に一過性の発熱、腹部膨満、下痢などの症状が起こることがあります。
また、重度の腸炎を患っている場合、一時的に症状が弱まったり強まったり不安定な状態が続くことがありますが、治療の過程から起きるものと考えられており、一過性の症状です。


施術の流れは?

投与回数は、1クールが3回です。
2回目:初回投与から1~2日後
3回目:2回目から7日後

投与の日程を組むためにも、治療には事前のカウンセリングが必要になります。
腸内フローラ液は新鮮なものを投与する必要がありますので、常備している物ではありません。
投与する日程を決めて、そこに合わせて移植用の腸内フローラ液を専門の企業から送ってもらいます。

症状や目的に合わせて、1クールで終了にする場合や、2クール、3クールと継続することもあります。

おうちのワンちゃんネコちゃんに、治療に反応しない慢性的な下痢や嘔吐が続いている、アレルギーがあり体質改善をしたい、などという方は、ぜひ一度ご相談ください。