疾患紹介

あま市、名古屋市、津島市、稲沢市、清須市、大治町のみなさん、こんにちは!
あま市のあま動物病院です。今回は犬の急性腎不全の症状や原因、治療法などについて獣医師が詳しく解説していきます。

急性腎不全とは?

急性腎不全は短期間で急激に腎機能が低下する病気です。急性腎障害と呼ばれることもあります。腎臓を流れる血流や血液を濾過する量が減少してしまうことでおしっこが少なくなったり、全く出なくなったりしてしまい、体内の老廃物が排出されなくなってしまいます。治療が遅れてしまうと最悪の場合亡くなってしまうことも多い、とても恐ろしい病気です。

急性腎不全の症状

急性腎不全を発症すると、次のような症状が見られます。
・元気消失
・食欲不振
・嘔吐や下痢
・尿量が少ないあるいは尿が全く出ない
・低体温
これらの症状が見られる場合にはなるべく早く動物病院を受診し、検査や治療を受けるようにしましょう。

急性腎不全の原因

急性腎不全の原因は、腎前性、腎性、腎後性の3つに分類されます。
・腎前性
腎前性の急性腎不全は、腎臓を流れる血流の減少により引き起こされます。腎前性の急性腎不全を引き起こす要因としては、心臓病や脱水、失血、敗血症、外傷、長時間の麻酔、薬の副作用などが考えられます。
・腎性
腎性の急性腎不全は腎臓自体の障害により引き起こされます。原因としては重金属やエチレングリコール、有機化合物などの腎毒性物質、ショックや脱水、出血などによる腎臓の虚血、糸球体腎炎、レプトスピラ症、腎盂腎炎などが考えられます。
・腎後性
尿管や膀胱、尿道のいずれかが障害を受け閉塞し、尿が排出できなくなることで腎後性の急性腎不全は引き起こされます。中でも尿路結石による尿路閉塞はよく見られます。

急性腎不全の診断

急性腎不全の診断には血液検査や尿検査、エコー検査などが必要になります。
・血液検査
血液検査では腎数値(BUN、クレアチニン)の上昇や高カリウム血症、高リン血症などを確認します。
・尿検査
尿検査では尿比重の低下が確認されることが多いです。また、多くの場合尿蛋白も認められます。
・レントゲン検査
腎臓の大きさや尿路結石の有無を確認します。
・エコー検査
腎臓の構造や大きさ、尿路結石の有無を確認します。

急性腎不全の治療

急性腎不全の治療には大きく保存療法と透析療法の2種類があります。
・保存療法
保存療法では入院下で点滴による治療が行われます。点滴を流すことで脱水や電解質バランスの補正、腎臓への血流の増加、尿の排出を促す効果が期待できます。尿路閉塞を起こしている場合には閉塞の解除も迅速に行う必要があります。尿が全く出ない場合には利尿剤を投与し、排尿を促すことができます。急性腎不全では嘔吐が見られることが多く、その場合は制吐剤も使っていきます。
・透析療法
保存療法で改善が見られない場合には透析治療も検討されます。透析治療には腹膜透析と血液透析の2種類があります。
腹膜透析は腹膜を介して血液から尿毒症物質を除去する血液浄化療法です。特殊な設備が不要で重篤な動物にも実施可能な処置ですが、腹膜炎のリスクや透析効率が血液透析と比べて劣るというデメリットもあります。
血液透析は専用の機械を用いて血液を浄化する治療法です。特殊な機材が必要なため、実施できる施設は限られます。関東の病院へのご紹介が必要になります。

急性腎不全の予防

中毒物質の誤食やレプトスピラ症による急性腎不全であれば予防が可能です。
急性腎不全の原因になる中毒物質としては、ブドウやレーズン、ゆり、不凍液、重金属などが挙げられます。自宅ではこれらに犬の手が届かないように気をつけましょう。
レプトスピラ症は細菌による感染症です。ネズミなどの尿から感染し、急性腎不全の原因となります。混合ワクチンの接種で予防が可能であるため、ネズミと接触する可能性のある地域ではレプトスピラ症の予防が可能なワクチンを選択して接種するといいでしょう


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