疾患紹介

あま市、名古屋市、津島市、稲沢市、清須市、大治町のみなさん、こんにちは!あま市のあま動物病院です。
今回は犬の気管虚脱の症状や原因、治療法などについて獣医師が詳しく解説していきます。

気管虚脱とは?

気管虚脱は気管が変形することで潰れてしまい、空気が通りづらくなることで呼吸障害を生じる病気です。発症すると呼吸が苦しくなったり、ガーガーという咳をするようになったりするなどの症状を示すようになります。

気管虚脱の症状

気管虚脱を発症すると、次のような症状が現れます。
・ガーガーというガチョウの鳴き声のような咳をする
・疲れやすい
・呼吸するとゼーゼー音がなる
・食欲がない
・元気がない
・眠れない
上記のような症状が複数見られる場合は気管虚脱が疑われるため、早めの受診をおすすめします。中でも、ガーガーと音をたてながら咳をする症状は気管虚脱で非常に特徴的です。この症状が見られる場合には気管虚脱が強く疑われます。

気管虚脱の原因

・発症機序
気管は気管軟骨と呼ばれる軟骨で構成されており、健康であれば気管が潰れてしまうことはありません。しかし、何らかの影響により気管軟骨が軟らかくなってしまうと強度が保てなくなり呼吸の際に潰れてしまい、呼吸障害や咳が症状として現れるようになります。

・発症原因
気管虚脱が発症する原因としては、遺伝性や神経性、炎症性、栄養性などが考えられていますが、明確にはなっていません。

・後発犬
気管虚脱がよく見られる犬種としては、ポメラニアン、マルチーズ、チワワ、シーズー、パグなどの小型犬や短頭種が挙げられます。中でも、6歳以上で肥満の犬に多いとされています。
気管虚脱の診断
気管虚脱の診断にはレントゲン検査、透視X線検査、内視鏡検査などが利用されます。
・レントゲン検査、透視X線検査
呼吸している最中に横から撮影を行い、気管が潰れている様子を確認します。首の気管が虚脱している場合には息を吸い込んでいる時に虚脱が見られ、胸腔内の気管が虚脱している場合には息を吐いている時に虚脱が確認されます。
・内視鏡検査
気管に内視鏡を入れて虚脱を確認されます。全身麻酔が必要になるため、あまり利用されません。

気管虚脱の治療

気管虚脱の治療には内科療法と外科療法があり、気管虚脱を引き起こしている原因や症状、飼い主様の希望に合わせて選択する必要があります。
・内科療法
内科療法は咳を止める、あるいは減らすことを目的として行われます。咳を止める薬や気管の炎症を抑えるための抗炎症薬を使用して治療していきます。呼吸状態が悪い場合には入院して酸素室に数日入れておくこともあります。その他にはダイエットにより体重を減らすことや首に負担がかからないように首輪からハーネスに変更すること、部屋の温度や湿度の管理も合わせて行うことがあります。内科療法には全身麻酔をかけての手術が必要ないというメリットがある一方で、潰れた気管を修復しているわけではないため、内科療法ではなかなか改善しない場合もあります。
・外科療法
外科療法は潰れた気管を広げることを目的として行われます。外科療法にはプロテーゼ法とステント法の2種類があります。
プロテーゼ法は気管の外側に光ファイバーで作ったプロテーゼと呼ばれる型を縫い付ける方法です。プレテーゼ法は胸腔内の気管や気管支の虚脱には利用することができません。
ステント法はステントと呼ばれるメッシュでできた筒を気管内に装着し、気管を広げる手法です。プロテーゼ法と比べて手術は短時間で終わりますが術後も咳が残りやすいというデメリットがあります。

気管虚脱の予防

気管虚脱の予防には、肥満を避けることや首輪でなくハーネスを用いること、室温・湿度の管理が大切です。しかし、肥満の犬のダイエット目的で運動をさせる時には注意が必要です。肥満の犬に過度の運動をさせてしまうと、膝や腰を痛めてしまう可能性があります。ダイエットをする際には適度な運動と食事管理を行なっていくといいでしょう。


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