疾患紹介

あま市、名古屋市、津島市、稲沢市、清州市、大治町のみなさん、こんにちは!
あま市のあま動物病院です。今回は犬の椎間板ヘルニアの症状や原因、治療法などについて獣医師が詳しく解説していきます。

椎間板ヘルニアとは?

椎間板ヘルニアは犬でよく見られる神経の病気です。発症すると首や腰の痛み、足の麻痺などの症状を引き起こしてしまい、生活に支障をきたしてしまうこともあります。

椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアを発症すると、下記の様な症状を示すことがあります。
・首の痛み
・腰の痛み
・四肢の麻痺
・歩くときにふらつく
・歩けない
・緊張してお腹に力が入っている
・腰を丸めて歩く
・抱きかかえるときに「キャン」と鳴く
・足をつねっても痛みがない
上記の様な症状が見られたら、椎間板ヘルニアに伴う痛みや麻痺が生じている可能性があります。早めに受診してください。

椎間板ヘルニアの原因

椎間板ヘルニアは背骨を構成する「椎間板」が何らかの原因により変性してしまい、脊髄を障害することで発症します。
椎間板ヘルニアは発症の仕組みの違いによって大きく下記の2種類に分類されます。
・Hansen-Ⅰ型
軟骨異栄養症という遺伝性の病気を患っている特定の犬種でよく見られます。軟骨異栄養症の犬種としてはミニチュアダックスフンドやビーグル、フレンチブルドッグ、ペキニーズ、シーズーなどが挙げられます。これらの犬種では若いうちから椎間板の「髄核」と呼ばれる部分が変性し始めます。変性した髄核はある日突然飛び出して脊髄を障害し、椎間板ヘルニアを引き起こします。3-7歳くらいの比較的若い年齢の犬で急に発症することが特徴の1つです。
・Hansen-Ⅱ型
軟骨異栄養症の犬種以外に多いタイプです。老化に伴い椎間板の外側にある「繊維輪」と呼ばれる部位が徐々に膨らんでいき、脊髄を圧迫していきます。5歳以上の比較的高齢の犬でよく見られます。

椎間板ヘルニアの診断

犬種や症状、神経学的検査、レントゲン検査、CT・MRI検査により診断を行います。
・神経学的検査
症状が神経疾患によるものなのかの判断や原因がどのあたりの神経にあるのかを推定するために行う検査です。犬の意識状態や行動、姿勢、歩き方、麻痺、反射などを1つずつ確認していきます。
・レントゲン検査
椎間板ヘルニアの犬では椎骨と椎骨の間隔が狭くなっていたり、脊柱管内に影が見えたりすることがあります。しかし、レントゲン検査では異常が見付けられないことも多く、確定診断のためにはCT・MRI検査が必要です。
・CT・MRI検査
確定診断のために必要になります。骨の形や障害を受けている神経の部位を特定することが可能です。検査のためには専用の設備を有する病院への紹介が必要になることもあります。

椎間板ヘルニアの治療

椎間板ヘルニアの治療は重症度により異なります。重症度分類は下記の通りです。

・グレード1
麻痺はなく、首や腰の痛みのみが見られる。
・グレード2
歩くことはできるが麻痺があり、後ろ足がふらふらする。
・グレード3
後ろ足が麻痺して歩くことができない。
・グレード4
意識的に排尿ができない。後ろ足の皮膚をつねっても痛みがない。
・グレード5
後ろ足の骨をつねっても痛みがない。

グレード1-2の場合には内科療法が適応になります。消炎剤を使って神経の炎症を抑え、1-2ヶ月は安静にしてもらいます。
グレード1-2でも再発が多い場合やグレード3-4の場合には外科手術が適応になります。グレード5の場合は手術を行っても改善が見られないことも多く、状態に合わせて手術を行うか相談が必要になります。

椎間板ヘルニアの予防

首や腰に負担がかからないように日頃から注意することが椎間板ヘルニアの予防に有効です。具体的には、二本足で立たせない、ベッドやソファへの飛び乗りをさせない・飛び降りをさせないなどが必要になります。特に、軟骨異栄養症の犬種やこれまでに椎間板ヘルニアと診断されたことのある犬では発症や再発のリスクが高いため、注意が必要です。また、重症度の低いうちなら手術をせずに済むことも多いため、少しでも症状が見られたら安静に努め、早めに受診をしてください。


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